026 『紅茶楽しむ夜長の巻』
春芳・茄言・周天 三吟歌仙㉖
『紅茶楽しむ夜長の巻』
《初折 表》
秋 ① 山小屋で紅茶楽しむ夜長かな 春芳
秋 ② 身に沁む風にシュラフの温み 茄言
秋・月 ③ 後の月待ちぼけさせず現れて 周天
雑 ④ 群馬の誇り高橋光成 春芳
雑 ⑤ ひっそりとハンカチ王子幕を引き 茄言
雑 ⑥ 「持ってる人」の断捨離の時 周天
《初折 裏》
夏 ⑦ 価値観を見つめ直して風薫る 春芳
雑 ⑧ 湯から出す顔猿湯と同じ 茄言
恋 ⑨ グラドルの隠す手先の伸びやかさ 周天
恋 ⑩ ラストダンスはミスキャンパスと 春芳
恋 ⑪ 耳もとに囁き掛けて待つ応え 茄言
雑 ⑫ 無線仲間はマウイの島に 周天
冬・月 ⑬ ミネソタの草原照らす冬の月 春芳
雑 ⑭ ジャズの町まで大河見守る 茄言
雑 ⑮ 気に入りのレコードジャケットそっと撫で 周天
雑 ⑯ 掠れた声で歌う名曲 春芳
春・花 ⑰ この星は素敵と花が語りかけ 茄言
春 ⑱ しじみ汁にも旨味しみじみ 周天
《名残折表》
春 ⑲ 箸を置き『春のワルツ』を見る夕べ 春芳
恋 ⑳ 四季の小道を二人が染めて 茄言
恋 ㉑ ゴンドラで言葉を失くす夜明け前 周天
恋 ㉒ 揺れる心に風がささやき 春芳
雑 ㉓ やるまいかやろうかやるを良しとする 茄言
雑 ㉔ サルトルの書をファッションにして 周天
雑 ㉕ 深夜族ネックライトが光る部屋 春芳
冬 ㉖ 頭上リアルに冴える星降る 茄言
雑 ㉗ ムーディな昭和歌謡にどっぷりと 周天
雑 ㉘ 宣言解除賑わう銀座 春芳
秋・月 ㉙ 引き潮の後には満ちる月拝む 茄言
秋 ㉚ 稲雀たち飛ぶを忘れて 周天
《名残折裏》
秋 ㉛ 果てしなく続く棚田に秋時雨 春芳
雑 ㉜ 嫁ぐ娘を明日は送る日 茄言
雑 ㉝ 大利根の水郷に舟行き交えば 周天
春 ㉞ 日差しに和む麗らかな午後 春芳
春・花 ㉟ 花一望テラスで友とティータイム 周天
春 ㊱ 陽炎揺れる道のあとさき 茄言
自 令和三年 十月 二十三日
至 同 十月 二十七日