063『一斉の田植えの巻』
周天・茄言・春芳三吟歌仙
第６３巻
『一斉の田植えの巻』
《初折表》
夏 ① 水満ちて今日一斉の田植えかな 周天
夏 ② 豊作祈り打ち上げビール 茄言
雑 ③ 将来の希望を胸に旅に出て 春芳
雑 ④ 大屋根リングつなぐ万国 周天
秋・月 ⑤ 月明かり祭りのあとを淡く差し 茄言
秋 ⑥ 色なき風の吹き抜ける街 春芳
《初折裏》
秋 ⑦ 蔦の這うレンガ造りのワインバー 周天
雑 ⑧ 自重でアーチ保つ架け橋 茄言
恋 ⑨ 飲み過ぎてシャロンストーンの夢をみて 春芳
恋 ⑩ 罠にみちびく氷の微笑 周天
恋 ⑪ 知りながら魔性の沼に引き込まれ 茄言
雑 ⑫ 時間忘れてゲームにはまる 春芳
冬・月 ⑬ 虚ろなる心を照らす冬の月 周天
冬 ⑭ それでも走る白き息吐き 茄言
雑 ⑮ 戦略の見直し求めアメリカへ 春芳
雑 ⑯ スパを湯の宿おもてなしにと 周天
春・花 ⑰ 切り口に未熟を悟る花一輪 茄言
春 ⑱ 青い山脈陽炎に揺れ 春芳
《名残折表》
春 ⑲ わらび狩り迷った末に元の道 周天
雑 ⑳ 単車を駆ってオロロンライン 茄言
雑 ㉑ 窓の外波高きらめく日本海 春芳
恋 ㉒ 涙こらえて出船見送る 周天
恋 ㉓ つらいとき包んでくれる厚い胸 茄言
夏・恋 ㉔ 過ぎ去りし恋思い出の夏 春芳
夏 ㉕ 猛ノック地面に汗をしたたらせ 周天
雑 ㉖ ４番サード背番号３ 茄言
秋・月 ㉗ 大谷の笑顔を照らすフルムーン 春芳
秋 ㉘ 打球の音は澄んで彼方へ 周天
秋 ㉙ 面影をおわらで偲ぶ風の盆 茄言
雑 ㉚ 夕暮れの里子守歌聞く 春芳
《名残折裏》
雑 ㉛ サザエさん観ながらカレー卓袱台で 周天
雑 ㉜ クワゼ火種に薪で風呂焚く 茄言
雑 ㉝ 雨の中草履で歩く登下校 春芳
雑 ㉞ 門の脇には金次郎像 周天
春・花 ㉟ 石段に花の飛びたる城の跡 春芳
春 ㊱ 風三つ色に光輝く 茄言
自令和七年六月二十一日
至同六月二十八日