037 『満開揺らす光風の巻』
茄言・春芳・周天 三吟歌仙37
『満開揺らす光風の巻』
《初折 表》
春 ① 満開を揺らして光る風届く 茄言
春 ② 何やらゆかし庭の残雪 春芳
春 ③ 連勝でスタート気分麗らかに 周天
雑 ④ 行く先遠く山谷越えて 茄言
秋・月 ⑤ 海坂の藩邸照らす望の月 春芳
秋 ⑥ 我慢を重ねうそ寒き夜 周天
《初折 裏》
秋 ⑦ 秋気澄む谷に秘剣を磨く声 茄言
雑 ⑧ 菩薩峠で辻斬りに遭う 春芳
恋 ⑨ 縁結び白衣観音赤き糸 周天
恋 ⑩ 二人頬寄せ見下ろす小窓 茄言
恋 ⑪ ゴンドラの揺れを楽しむ初デート 春芳
雑 ⑫ テントサーカス母に連れられ 周天
夏・月 ⑬ 三日月を網で引く夢見る昼寝 茄言
夏 ⑭ 雨降るパリに響く雷鳴 春芳
雑 ⑮ カンヌまで赤のサーブでぶっ飛ばし 周天
雑 ⑯ 長い鼻には縦置きターボ 茄言
春・花 ⑰ 助手席に花の舞い込む昼下がり 春芳
春 ⑱ 流氷きしる岸に降り立つ 周天
《名残折表》
春 ⑲ 堅き身も少しほぐれる暖かさ 茄言
雑 ⑳ 運動するには酷な布靴 春芳
雑 ㉑ 若き刑事(デカ)聞き込み続けホシを追い 周天
恋 ㉒ 惚れた女将に疲れ癒やされ 茄言
恋 ㉓ 公園のベンチで待つ身来ぬ人を 春芳
恋 ㉔ 手作り弁当海苔でLOVE YOU 周天
雑 ㉕ スタンドにMと描いた甲子園 茄言
雑 ㉖ 予測不能な試合の行方 春芳
冬・月 ㉗ 月愛でる烏帽子に時雨うち降りて 周天
冬 ㉘ 燻り豆腐で一人燗酒 茄言
雑 ㉙ 侘びしくも沁みる演歌を聴く夕べ 春芳
雑 ㉚ ダブルラジカセ通販で買う 周天
《名残折裏》
雑 ㉛ 亡き恩師チョーク両手に表を書く 茄言
雑 ㉜ 明日は我が身と気を引き締めて 春芳
雑 ㉝ 散策に覚えたての句暗誦し 周天
春 ㉞ 雉鳴く声に難問解けて 茄言
春・花 ㉟ 花朧清少納言したり顔 周天
春 ㊱ 挨拶交わす麗らかな朝 春芳
自 令和四年 四月五日
至 同 四月九日