三吟歌仙         

033 『遠霞の空にFly Highの巻』

          周天・茄言・春芳 三吟歌仙 33
         『遠霞の空にFly Highの巻』


  《初折 表》
春      ① 遠霞聖なる空に Fly High           周天

春      ②  春の祭りに揃いの半被           茄言

春      ③ 東風に背中を押され旅立って         春芳

雑      ④  エキストラとして映画出演         周天

秋・月    ⑤ 音もなく走る忍びに月の影          茄言

秋      ⑥  かりがね寒き荒城の跡           春芳


  《初折 裏》
秋      ⑦ 長き夜に甲陽軍鑑読み耽る          周天

雑      ⑧  大河ドラマの軽さ憂いて          茄言

恋      ⑨ 告白の言葉拙くあきれられ          春芳

恋      ⑩  シートにもたれ残り香に泣く        周天

恋      ⑪ 過ぐる日を共に重ねて一人きり        茄言

雑      ⑫  眠れぬままに聴くラジオ便         春芳

夏・月    ⑬ 迷うはずなき帰路迷う夏の月         周天

夏      ⑭  やませが誘うもののけの森         茄言

雑      ⑮ 吸い殻をキセルに差して婆語る        春芳

雑      ⑯  かつては富貴な家に生まれて        周天

春・花    ⑰ 廃屋の垣根今年も花をつけ          茄言

春      ⑱  暗渠抜け出し帰る鳥たち          春芳

  《名残折表》
春      ⑲ 紙雛を見つめ飯場の苦き酒          周天

雑      ⑳  腕を買われて切羽任され          茄言

雑      ㉑ 上野駅公園口で終わる旅           春芳

雑      ㉒  初めてふれる洋食の味           周天

恋      ㉓ 云われたい云いたいはずが海ながめ      茄言

冬・恋    ㉔  思い出辿る雪の坂道            春芳

恋      ㉕ 初恋のひとに似た人追い求め         周天

雑      ㉖  ニースに飛んで黒幕探る          茄言

秋・月    ㉗ 凜としてエッフェル塔に懸かる月       春芳

秋      ㉘  色なき風のそよぐパリコレ         周天

秋      ㉙ 桟橋をランウェイ見立て歩く秋        茄言

雑      ㉚  モンローウォークステップまねて      春芳


  《名残折裏》
雑      ㉛ スカートをめくっても罪問われずに      周天

雑      ㉜  ふと蘇る友の一言             茄言

雑      ㉝ マイカーで生きる希望を探す旅        春芳

春      ㉞  蜃気楼立つ所めがけて           周天

春・花    ㉟ 行く先にゆめまぼろしか花嵐         春芳

春      ㊱  春陽纏いて足取り軽く           茄言

        自  令和四年  二月  四日
        至   同    二月   九日