064『カノンの漏れる蔦カフェの巻』
茄言・周天・春芳三吟歌仙64
『カノンの漏れる蔦カフェの巻』
《初折表》
秋 ① カフェ覆う蔦から漏れるカノンかな 茄言
秋 ② 蜻蛉さまようビルの片隅 周天
秋・月 ③ 窓を開け夜に輝く月を見て 春芳
雑 ④ 草木は眠る影を重ねて 茄言
雑 ⑤ 薄墨の応挙の軸がそよと揺れ 周天
夏 ⑥ 波高きらめく夏の島々 春芳
《初折裏》
夏 ⑦ 獲物手に海女顔出せば雲の峰 茄言
恋 ⑧ 告白の声潮騒に消え 周天
恋 ⑨ 一通のメールで終わる恋の味 春芳
恋 ⑩ アプリで知って二人が五人 茄言
雑 ⑪ 過半数目指し野党を切り崩す 周天
雑 ⑫ 戦禍の街をフィルムに収め 春芳
秋・月 ⑬ 満ち引きの力をかせと月仰ぐ 茄言
秋 ⑭ 作付け増やし実る稲の穂 周天
秋 ⑮ 竹林を微かに揺らす秋の風 春芳
雑 ⑯ 飛行機雲が伸びて散り消え 茄言
春・花 ⑰ 気もそぞろ続々届く花便り 周天
春 ⑱ ウォール街を濡らす淡雪 春芳
《名残折表》
春 ⑲ 駆け引きの果てに悟った蜃気楼 茄言
雑 ⑳ あと二勝への遠い道のり 周天
雑 ㉑ 満天の星に溶け込むホームラン 春芳
恋 ㉒ またねと香りほのか残して 茄言
恋 ㉓ 観覧車5分で熱き口づけを 周天
冬・恋 ㉔ 手を取り合って枯れ野を歩く 春芳
冬 ㉕ 寒風に向かって漕いだ朝補習 茄言
雑 ㉖ 顰蹙を買うダジャレ連発 周天
雑 ㉗ 皿出してサラダを盛って酒を飲む 春芳
雑 ㉘ 独り自画像描き上げ祝う 茄言
夏・月 ㉙ 短夜の月との対話浅きまま 周天
夏 ㉚ 夏めく沢でする水遊び 春芳
《名残折裏》
夏 ㉛ 半割れの竹組む子らに麺を茹で 茄言
雑 ㉜ 脱出シューターもしもの備え 周天
雑 ㉝ 防災の研修受けて防災士 春芳
春 ㉞ 春眠起こす村のサイレン 茄言
春・花 ㉟ 静寂の時を楽しむ花の下 春芳
春 ㊱ 平和に満ちたうららかな日々 周天
自令和七年八月 七日
至 同 八月十四日