045 『囀りを聞く朝の巻』
周天・茄言・春芳三吟歌仙45
『囀りを聞く朝の巻』
《初折表》
春 ① 囀りをまどろみに聞く朝(あした)かな 周天
春 ② 夢の出口に誘う春風 茄言
春 ③ 麗らかな森の小径を散歩して 春芳
雑 ④ テーマパークに笑顔はじける 周天
秋・月 ⑤ 選ばれし飛行士月に降り立つ日 茄言
秋 ⑥ 見上げる夜空光る流星 春芳
《初折裏》
秋 ⑦ 秋気満ちアニソン歌う声高く 周天
雑 ⑧ トトロの唄で登る急坂 茄言
恋 ⑨ マイアミで野球観ながら肩を抱き 春芳
恋 ⑩ サウスビーチに泊まる約束 周天
恋 ⑪ カクテルを揺らす二人に寄せる波 茄言
雑 ⑫ 思わず魅入るバーテンディング 春芳
冬・月 ⑬ ふるさとを遠く追われて冬の月 周天
夏 ⑭ 過疎の村でも祭りの準備 茄言
雑 ⑮ 山々を染めて夕陽の沈み行く 春芳
雑 ⑯ 健康寿命までの道のり 周天
春・花 ⑰ 満開を競った花は風に乗り 茄言
春 ⑱ 水面に残る氷を飾る 春芳
《名残折表》
春 ⑲ 春ショール一番線の陽を受けて 周天
雑 ⑳ 戦地へ向かう兵士見送る 茄言
雑 ㉑ 飲みながらロシア文学読む夕べ 春芳
恋 ㉒ 愛くるしさはナターシャに似て 周天
恋 ㉓ 初恋の人の面影追いし恋 茄言
恋 ㉔ 若き靴音今も響いて 春芳
雑 ㉕ 七冠へ王手をかけて長考し 周天
雑 ㉖ こぎ出す先は未知の大陸 茄言
夏・月 ㉗ 航跡波明るく照らす夏の月 春芳
夏 ㉘ 寄港はアロハシャツに着替えて 周天
雑 ㉙ 俺の席気配りママが空けて待つ 茄言
雑 ㉚ 赤いレンガの小さな画廊 春芳
《名残折裏》
雑 ㉛ 我が道を愚直なまでに貫いて 周天
雑 ㉜ 青の洞門残るノミ跡 茄言
雑 ㉝ 長年の勤めを果たし隠居する 春芳
春 ㉞ 卒業式にマスクはずして 周天
春・花 ㉟ 凱旋の侍ジャパンに花吹雪 春芳
春 ㊱ 春の佳き日に祝杯あげて 茄言
自 令和五年三月二十一日
至 同 三月二十六日