055『草刈り跡をつつく群れ鳥の巻』
茄言・春芳・周天三吟歌仙５５
『草刈り跡をつつく群れ鳥の巻』
《初折表》
夏 ① 鳥群れて草刈り跡をつつきけり 茄言
夏 ② 翼広げて鳴くイワヒバリ 春芳
雑 ③ 一軒家に撮影クルー現れて 周天
雑 ④ 隠棲乱すもなぜか嬉しき 茄言
秋・月 ⑤ 夜深く見上げる空に満の月 春芳
秋 ⑥ 枝豆茹でて効かす塩味 周天
《初折裏》
秋 ⑦ 萩揺らし届いた風と一人酒 茄言
恋 ⑧ セピアカラーの思い出に酔う 春芳
恋 ⑨ やさしさが怖いというを噛みしめて 周天
恋 ⑩ なごり雪ふる別れのホーム 茄言
冬 ⑪ 旅に出て降り立つ先は冬のパリ 春芳
雑 ⑫ 凱旋門賞今年こそはと 周天
秋・月 ⑬ 月明かり敗者の帰路に薄く差し 茄言
秋 ⑭ 湖上に映る錦繍の森 春芳
秋 ⑮ 散髪の己が姿に見入る秋 周天
雑 ⑯ リスキリングと目標立てる 茄言
春・花 ⑰ 花の句を記すノートに茶をこぼし 春芳
春 ⑱ 霊峰霞む五十三次 周天
《名残折表》
春 ⑲ 玉石の沈む踏み音(ね)と伊勢参り 茄言
雑 ⑳ 賽銭箱に忍び寄る影 春芳
恋 ㉑ うしろからそっと抱かれて戸惑えば 周天
恋 ㉒ じらしてみても心読まれて 茄言
恋 ㉓ 黒髪をふわりと広げ笑う女(ひと) 春芳
雑 ㉔ 声を涸らして絶叫マシン 周天
雑 ㉕ 湧き水でのど潤して仰ぐ峯 茄言
雑 ㉖ 歩き疲れて木陰で休む 春芳
夏・月 ㉗ 襟元の汗ひんやりと夜半の月 周天
夏 ㉘ 朝取れ茄子をもんで浅漬け 茄言
雑 ㉙ 献立のレシピ考え料理する 春芳
雑 ㉚ ジェンダーギャップ順位落とすも 周天
《名残折裏》
雑 ㉛ 親ガチャとスタート格差嘆く声 茄言
雑 ㉜ 走るディアナはベイのシンボル 春芳
雑 ㉝ 白球は青く染まったスタンドへ 周天
春 ㉞ 飛び跳ね躍る梁の若鮎 茄言
春・花 ㉟ 旬の味大皿に盛り花の宴 周天
春 ㊱ 青春の日々語る人々 春芳
自令和六年六月二十一日
至 同 六月二十六日