065『長編を読む夜長の巻』
春芳・周天・茄言三吟歌仙65
『長編を読む夜長の巻』
《初折表》
秋 ① 長編を読んでは休む夜長かな 春芳
秋 ② まなこ閉じれば耳に爽籟(そうらい) 周天
秋・月 ③ 辛口を喉で味わう月見酒 茄言
雑 ④ 甘菓子抱え謝りに行く 春芳
雑 ⑤ 肩組まれ上司の熱き武勇伝 周天
雑 ⑥ 何度聞いても振りは初耳 茄言
《初折裏》
夏 ⑦ 夏休み友と出かける千葉の海 春芳
夏・恋 ⑧ パラソルの陰距離を縮めて 周天
恋 ⑨ 自己新が思いを告げる勇気くれ 茄言
恋 ⑩ 交わすくちづけ恋のよろこび 春芳
雑 ⑪ 歌麿の枕絵だけは捨てられず 周天
雑 ⑫ 空舞う羽根をガンプが拾う 茄言
冬 ⑬ いつか見たヒマラヤ杉に積もる雪 春芳
冬・月 ⑭ 単独登頂照らす凍て月 周天
雑 ⑮ 静寂の中で奏でるソロパート 茄言
雑 ⑯ 昭和の曲をレコードで聞く 春芳
春・花 ⑰ 花の夜白いギターで恨み節 周天
春 ⑱ 朝にうっすらなごり雪降る 茄言
《名残折表》
春 ⑲ 里山を静かに包む春霞 春芳
雑 ⑳ 獣と人の共存の夢 周天
雑 ㉑ 瑠璃色の地球がラジオから流れ 茄言
雑 ㉒ ダイヤモンドの光を見つめ 春芳
恋 ㉓ ボタ山に想いのかけら拾い出す 周天
恋 ㉔ 微笑む君とこれから先も 茄言
恋 ㉕ 放課後に手紙を渡し弾む胸 春芳
雑 ㉖ ラムネの玉を抜いて騒いで 周天
秋・月 ㉗ 欠けた月ジャムおじさんに飛んでいけ 茄言
秋 ㉘ パン工場を襲う台風 春芳
秋 ㉙ 倒された稲穂も高値買い取られ 周天
雑 ㉚ パリのパラスに泊まる夢見る 茄言
《名残折裏》
雑 ㉛ セーヌ川水面に映るサメの影 春芳
雑 ㉜ 女性市長は波にのまれて 周天
雑 ㉝ おてんとうさまが見てると子を諭し 茄言
春 ㉞ 何やらゆかし卒業写真 春芳
春・花 ㉟ コサージュに込めて見送る花言葉 茄言
春 ㊱ 春一斉に巣立つ若人 周天
自 令和七年九月二十三日
至 同 九月二十九日