三吟歌仙         

069『げんげ咲くの巻』

 

周天・茄言・春芳 三吟歌仙
第69巻
『げんげ咲くの巻』


《初折 表》
春   ① げんげ咲く中をきらめく小川かな   周天
春   ②  岸辺に群れる蜂の羽根音      茄言
春   ③ 麗らかな湖畔の宿にひとり来て    春芳
雑   ④  カッター漕いだあの日懐かし    周天
秋・月 ⑤ 校庭に寝並び追った月の食      茄言
秋   ⑥  見上げる空に飛ぶ流れ星      春芳
《初折 裏》
秋   ⑦ ロケットの発射の跡は露しげく    周天
恋   ⑧  夢追う人に心奪われ        茄言
恋   ⑨ ラブレター書いては破り夜も明ける  春芳
雑   ⑩  冷めたブラックコーヒーの味    周天
雑   ⑪ 黒星に勝負強さの陰りみる      茄言
雑   ⑫  重き課題に頭を抱え        春芳
夏・月 ⑬ 寝苦しき暑き窓辺に月明かり     周天
夏   ⑭  微動だにせず風鈴の影       茄言
雑   ⑮ 関東の厄除け大師巡る旅       春芳
雑   ⑯  佐野から西へルート50を     周天
春・花 ⑰ 山麓の花千本に人の列        茄言
春   ⑱  光輝く残雪の峰          春芳
《名残折表》
春   ⑲ 揚げひばり空に吸われて点になり   周天
雑   ⑳  受験常識難問捨てる        茄言
雑   ㉑ 大学のゼミの講義でメモを取り    春芳
恋   ㉒  バイトつづける彼をサポート    周天
恋   ㉓ あげまんと伝えて妻は笑み浮かべ   茄言
冬・恋 ㉔  冬のソナタを君とみた夜      春芳
冬   ㉕ 訓練の寒さ乗り越えBTS      周天
雑   ㉖  煮ぼうとうあり深谷マラソン    茄言
秋・月 ㉗ 縁側で友と月見て杯交わし      春芳
秋   ㉘  夜霧にしのぶ銀幕スター      周天
秋   ㉙ いぬ人の残すおもいか流れ星     茄言
秋   ㉚  山小屋泊まり灯火親しむ      春芳
《名残折裏》
雑   ㉛ 俗塵を払いあてなき逃避行      周天
雑   ㉜  独り漕ぎ出す深夜の浜辺      茄言
雑   ㉝ 潮騒に耳傾けて涙ぐむ        春芳
春   ㉞  もの悲しきは海女の磯笛      周天
春・花 ㉟ 風誘う花の名残の華やかさ      春芳
春   ㊱  道の果てまで染まる春色(はるいろ)  茄言

自令和八年三月 二十日
至 同  三月二十五日