三吟歌仙         

070『次峯へと誘う風の香の巻』

茄言・周天・春芳三吟歌仙70
『次峯へと誘う風の香の巻』

《初折表》
夏   ①風の香や次の峯へと誘いけり      茄言
夏   ② 射す陽きらめく新緑の中       周天
夏   ③海沿いをアロハシャツ着て散歩して   春芳
雑   ④ 独りおどけてフラのまねする     茄言
秋・月 ⑤ボタ山の月下に若き声弾み       周天
秋   ⑥ 友と楽しむ秋の野遊び        春芳
《初折裏》
秋   ⑦稲妻に頭押さえて子らは散り      茄言
恋   ⑧ 怖がるふりして胸にとびこむ     周天
恋   ⑨初恋の黒髪揺れる風の街        春芳
恋   ⑩ 君の瞳はまるでナウシカ       茄言
雑   ⑪異界へと導く箱を覗き込み       周天
雑   ⑫ 少し切ないホラー小説        春芳
冬・月 ⑬寒月に遠吠え聞いて足早め       茄言
冬   ⑭ 鮟鱇に合うぬる燗を酌む       周天
雑   ⑮今宵またレコードかけてひとり酒    春芳
雑   ⑯ 時代はまわる良くも悪しくも     茄言
春・花 ⑰カフェの窓開けて広がる花の園     周天
春   ⑱ キューガーデンズ陽炎に揺れ     春芳
《名残折表》
春   ⑲ドーバーの霞の先に目を凝らし     茄言
雑   ⑳ ノルマンディーの夢は消え去る    周天
雑   ㉑山猫の瞳に映るスナイパー       春芳
恋   ㉒ 皆憧れのマドンナ射止め       茄言
恋   ㉓フーテンの寅はふられてまた惚れて   周天
恋   ㉔ 改札口で君を待つ日々        春芳
雑   ㉕かくれんぼ指立て鬼をやり過ごす    茄言
雑   ㉖ 忘れ去られる不安よぎって      周天
秋・月 ㉗横浜の球場照らす望の月        春芳
秋   ㉘ 夜寒もしのぐ勝利の余韻       茄言
秋   ㉙金色(こんじき)の銀杏並木に紙ふぶき 周天
雑   ㉚ 学生街へ続く道筋          春芳
《名残折裏》
雑   ㉛「生きる」観た名画座消えし神楽坂   茄言
雑   ㉜ いのちの証ひとつ捜さん       周天
雑   ㉝時を超え夢を奏でるピアニスト     春芳
春   ㉞ 羽化した蝶が群れて舞い飛ぶ     茄言
春・花 ㉟花の下句友とともに酒を酌む      春芳
春   ㊱ 春たけなわの満尾七十        周天

自令和八年五月五日
至 同  五月十日