三吟歌仙         

072『秋茜群れ飛ぶの巻』(四吟)

 飛鳶・周天・春芳・茄言 四吟歌仙
 第72巻『秋茜群れ飛ぶの巻』

《初折 表》
秋   ① 秋茜群れ飛ぶ嶺に憩いたり     飛鳶    
秋   ②  風の流れを描くすすき野     周天    
秋・月 ③ 月明かり頼りに水辺散歩して    春芳  
雑   ④  浮かぶ葉に乗る蟻の戸惑い    茄言    
雑   ⑤ イソップを読み聞かせする母の声  周天   
夏   ⑥  暑さに乱舞明日なき若さ     飛鳶   
《初折 裏》
夏   ⑦ 身に沁みる親の一言茄の花     茄言   
雑   ⑧  心疲れて風の歌聞く       春芳   
恋   ⑨ かなわずに傷心の旅北の宿     飛鳶   
恋   ⑩  連絡船に待ち人は来ず      周天   
恋   ⑪ 海峡を見つめる君の肩を抱き    春芳   
雑   ⑫  油送航路は迷走ばかり      茄言   
冬・月 ⑬ 戦いを終える術なく月凍てて    周天  
冬   ⑭  時の流れに耐え寒椿       飛鳶   
雑   ⑮ 紅色のロードスターで一人旅    茄言   
雑   ⑯  アウトバーンでオーストリアへ  春芳   
春・花 ⑰ 優勝し花吹雪浴ぶ沿道に      飛鳶  
春   ⑱  海市めざしてバイキング・ロー  周天   
《名残折表》
春   ⑲ 球場の観客濡らす春時雨      春芳   
雑   ⑳  明暗分けた空のいたずら     茄言  
雑   ㉑ 土砂崩れ燕岳へ道閉ざす      周天 
夏   ㉒  満天の星山小屋の朝       飛鳶 
恋   ㉓ 頂のハイタッチから好き同士    茄言 
恋   ㉔  影重なりて甘いささやき     春芳 
秋   ㉕ 風涼し温もり抱いて新学期     飛鳶 
秋   ㉖  運動会のリレー練習       周天 
秋・月 ㉗ 廃校の校舎を照らす満月よ     春芳 
雑   ㉘  夜空にふいと友の面影      茄言  
雑   ㉙ バブル期を若い世代に尋ねられ   周天 
雑   ㉚  ミニスカ姿熱気むんむん     飛鳶 
《名残折裏》
冬   ㉛ 柚子の湯の香りを纏う風呂上り   茄言 
冬   ㉜  部屋の空気に冬を感じて     春芳 
雑   ㉝ 明かり点け居間に家族は集い来る  飛鳶 
春   ㉞  初蝶見つけ話題もちきり     周天 
春・花 ㉟ 咲いた花咲く花誘う花の宴     茄言 
春   ㊳  霞たなびく里の家々       春芳 

自令和八年八月 七日
至 同  八月十四日