073『澄む水に映る子らの巻』
茄言・春芳・周天三吟歌仙73
『澄む水に映る子らの巻』
《初折表》
秋 ① 水澄むや魚ゆび指す子ら映す 茄言
秋 ② 秋のかわもに笑みこぼれたり 春芳
秋・月 ③ お月見のだんご盗むも許されて 周天
雑 ④ 足音追って犬の遠吠え 茄言
夏 ⑤ 雷鳴を聞いて驚く帰り道 春芳
夏 ⑥ 真夏のフェスの熱い砂浜 周天
《初折裏》
雑 ⑦ 夕暮れて祭りの後に寄せる波 茄言
恋 ⑧ 着物姿の君に恋して 春芳
恋 ⑨ 胸焦がす思い伝える細きペン 周天
恋 ⑩ ネイル見せてとそっと手に触れ 茄言
雑 ⑪ 友達と談話室にて話し合う 春芳
雑 ⑫ 急ごしらえの試験対策 周天
冬・月 ⑬ 迷い道寒夜に頼る月明かり 茄言
冬 ⑭ 木枯らしを背に走り去る人 春芳
雑 ⑮ 立憲を二度も大敗させた罪 周天
雑 ⑯ 勝負の綾は番手選択 茄言
春・花 ⑰ ゴルファーと肩を並べて花見酒 春芳
春 ⑱ 谷渡りする鶯の声 周天
《名残折表》
春 ⑲ のどけさにまどろむ夢は瀬戸の浜 茄言
雑 ⑳ 鞄一つでカルカソンヌへ 春芳
雑 ㉑ 南仏に憩う船旅ミディ運河 周天
雑 ㉒ マルセイユから地中海へと 茄言
夏 ㉓ 潮騒の音軽やかに風薫る 春芳
恋 ㉔ 看護やさしく上がる脈拍 周天
恋 ㉕ 石段で腕に甘えるいとおしさ 茄言
恋 ㉖ ヤンキーギャルに心ときめく 春芳
雑 ㉗ 奥の間に髑髏隠した旅の宿 周天
雑 ㉘ 落人狩りを老婆語りて 茄言
秋・月 ㉙ 戦場の瓦礫を淡く照らす月 春芳
秋 ㉚ 宙にとどまるカマキリの斧 周天
《名残折裏》
秋 ㉛ 老巨木倒して拝む秋の暮 茄言
雑 ㉜ 遠き山々望む高台 春芳
雑 ㉝ 人類の未来にわかに影差して 周天
春 ㉞ 今日の陽浴びて亀の鳴く声 茄言
春・花 ㉟ みちのくの樹齢を誇る花しだれ 周天
春 ㊱ 春風に咲く滝のごとくに 春芳
自令和八年九月二十三日
至 同 九月二十七日